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NPO法人尾道空き家再生プロジェクト尾道ゲストハウス みはらし亭
尾道市東土堂町15−7 (千光寺すぐ下)

もともと神社仏閣しか建っていなかった神聖な土地である尾道三山の山麓に、明治の半ばに尾道に鉄道が敷かれて以降、線路建設のために立ち退きにあった人たちの家や豪商たちの別荘建築が競うように建ち始め、尾道の「茶園【さえん】」文化が花開きました。
そんな時代の大正10年に千光寺さんの境内の見晴らしのいい場所に建てられた別荘がみはらし亭です。昭和30年台に現在の所有者の先代が購入し、40年台に「みはらし亭」として旅館営業を始め、現在は営業を停止して長い年月が経っている状態です。
我々NPOは、この歴史的建造物を尾道の文化的景観の中で、失ってはならない大切な尾道の宝ととらえ、再生活用を決意しました。尾道の「別荘建築」の拠点的存在として、現在、地元の職人さんや建築士さん、尾道市、尾道大学関係者、地元関係団体のみなさんとともに再生、活用に挑んでいます。観光的にも重要な千光寺参道に面した絶景のロケーションと商店街の尾道町屋を再生した路地のゲストハウス「あなごのねどこ」の経験を生かして、こちらも坂のゲストハウスとして再生していく予定です。







建築的特所見:一級建築士 渡邉 義孝
■外観
みはらし亭は、千光寺山急斜面の不整形の土地に建つ、木造2階建ての旅館である。
東側に2メートルほどの高さの石垣を組み、その上に土台を載せて軸組を作る。要所に方杖を立てて縁側を支持する。そのため、開いた崖に対して大きく張り出したような外観を成す。特に千光寺山のロープウェー索道のほぼ真下にあたり、国道2号線からはっきりと望見できる位置にある、都市景観上、きわめて重要な建築物のひとつとなっている。
瓦は、主屋根・下屋ともに桟の部分の「嶺」が尖っている「しのぎ桟」で、小判の菊間瓦が葺かれている。不均一で味わいのある還元色の焼き色とあわせて、尾道らしい景観を形成している。

■間取りとしつらえ
1階、雁行した縁側を東に回し、和室四室が直列に並ぶ。北端の八畳間には書院窓の付いた床の間が北面にあり、三方落としの床柱(カリン?)が立ち大きな洞口(ほらぐち)で床脇に光を導く。床板は無垢の一枚板を使っている。框はカキ、床脇は半間幅で地袋のみが付く。南端の和室は長押がないものの、平面が五角形で、押入も三角形に納めるなど、手間をかけて敷地形状に合わせる工夫をしている。
中央にある玄関には引分けのガラス格子戸が残り、客室との境には上質な舞良戸が残っている。玄関前から2階に上る階段にアクセスする。
2階には大小五室の和室がある。
北端には床の間を備えた十二畳の広間があり、床の間は備後畳を敷き詰めている。洞口があり、違い棚のある床脇に繋がる。違い棚には海老束、筆返しが付いた本式のつくりである。雛留め納まりの1階に対して、2階の床柱は格式の高い枕捌(まくらさば)きで長押を納めている。
欄間には松の木の透かし彫りが施されている。

■意匠上の特徴
主な和室の仕上は、床は畳、壁は後補と思われる繊維壁、天井は竿縁天井でシンプルなしつらえであるが、素材・造作ともに良質である。釘隠しが1階が扇の錺、2階が松で統一されている。
意匠的にユニークなのは東の縁側の化粧垂木天井で、部屋内から軒下まで通しの丸太垂木(約1寸2分径)が1尺2寸間隔で斜めに差し掛けている。これは、空間の調和を崩すとともに、縁側の幅の狭さを感じさせずに視線を自然に外部に導くためのダイナミックなデザインといえよう。
なお、建物の西側の敷地内に置かれている四本爪の錨は、かつて北前船に積まれて使用されていた江戸時代にさかのぼる鍛鉄製の錨であり、資料的価値の高いものである。

■現状と急がれる対策
客室に景観を取り入れる必要から、東側はほとんど壁がない開放的なつくりとなるが、そのために耐震性能が弱く、不動沈下と倒木などの外力によって軸部の傾倒と床の歪みが惹起されている。壁にもクラックが多く、屋根からの雨漏りとともに、早急な補修が求められている。

渡邉義孝(一級建築士・尾道大学非常勤講師・日本民俗建築学会正会員)
図面作成:ココロエ一級建築士事務所

建物のみどころ:


再生プロセス

2009年年10月:尾道市空き家バンクへの登録、内部見学


2010年年9月〜11月:「脱空き家を考える」ワークショップ開催
個人では手に負えない大型物件を対象としたワークショップを開催しました。みはらし亭と黄色いアパートの2つの大型空き家をケースにチームに分かれて活用案を考えてもらいました。         
 助成:住まい•まちづくり担い手支援機構

2013年8月〜3月:「坂の町尾道の独特の景観にともなう歴史的建造物の管理活用プロジェクト」  
これからの将来、文化財はただ単に博物館の展示品のような扱いをしているだけでは、維持管理していけない時代が来ることを見据えて、NPOなどの地域住民が主体となって生きた身近名文化財として、活用しながら次世代へと繋いでいくための実証実験を、文化庁の助成を受けながら行いました。専門家とともに実測調査をし、図面作成、破損部分の把握、再生計画と保存活用計画の策定、活用のための財源確保計画を作成しました。     
 助成:NPO等による文化財建造物の管理活用事業(文化庁)

2013年12月24日 有形登録文化財に登録。

2014年1月25日:尾道建築塾特別編 「尾道の登録文化財をめぐる」の開催
同じように斜面地に建つ「福井邸」と「旧和泉家別邸」と「みはらし亭」の3件の文化財建築を見て歩くまちあるきを一級建築士の渡邉義孝氏の案内のもと開催しました。
            
2014年春期:一部解体作業、構造補強の調査•設計依頼

2014年夏〜秋期: 歴史的風致形成建造物修景・修復事業等各種助成金の申請、改修プランの検討


2015年1〜2月:みはらし亭「離れ」の構造及び屋根工事

2015年3月16〜22日:「尾道空き家再生!春合宿2015」開催
みはらし亭の離れの建物の内装をワークショップ形式で25人の参加者とともに改修しました。


【今後の改修工事からオープンまでのスケジュール】
<平成26年>
・1月〜2月 離れの構造•屋根工事
・3月 みはらし亭再生合宿第一弾 空き家再生春合宿開催 〜離れ工事編〜
<平成27年>
・春〜夏期:石垣、基礎、上部の構造補強工事、屋根および外観補修工事
・夏〜秋期:床、壁、天井、レセプション及びカフェスペース内装工事
・9月:みはらし亭再生合宿第二弾 空き家再生夏合宿開催 〜本館工事編〜
・2月:坂の上のゲストハウス「みはらし亭」オープン予定

 *工事が一年以上に渡る予定で、ご近隣のみなさまにはご迷惑をおかけしますが、なにとぞご理解、ご協力をよろしくお願いします。


©2008 尾道空き家再生プロジェクト